あたしには弟が一人いた。
あの子はバスケが得意で、いつかNBAに入るんだといつも言っていたよ。
そしてあたしは女優になり、あの子は国内で一番のバスケチームに入った。
お互い多忙で会うときも少なくなったが、それでも寂しくはなかった。

弟が事件に巻き込まれたと連絡があった。
急いで駆けつけると、弟の足は無くなっていた。

遠征先で爆弾テロがあったとニュースは言っていた。
しかし
「違うっ!!あれは、あれは人の仕業だっ!!」
事件について弟に尋ねたとき、彼は今までになく取り乱した。
弟の話によると、二人の指名手配犯(テレビによく出ていたから覚えていたらしい)と、二人の黒服の男が戦っていたらしい。
四人の戦闘は激しく、辺りは破壊されていった。
手配犯の一人が、何かの包みを取り出して投げたが、黒服の男の一人に弾かれた。
その包みは弟たちの近くに落ち、爆発した…

あの事件については結局「爆弾テロ」で片付けられ、報道されなくなっていった。
生きがいを無くした弟は徐々に弱っていった。
あたしは彼を養うために何本もの映画に出て、彼を元気づけるためにそれを見せていた。


だけど、
弟は自殺した。


遺書には生きる希望を失ったこと、映画と現実の違い、偽りの華やかさに絶望したこと、そしてあたしへの謝罪が書かれていた。
本当はずっと彼についていた方がよかったのかもしれない。
だけど、あたしは逃げていた。
あたしにも、この世界のいいところが何かわからなかったんだ。

それからあたしは女優をやめ、弟から夢を奪った奴らを探していた。
「君はこの世界に失望している。違うかな?」
彼に会ったのはそんなときだった。
黒服の男がクロノスの関係者であること、そして彼がクロノスに敵対していることを知り、自ら志願して神氣湯を取った。
あたしの戦いはここから始まった。










エキドナに弟の存在を捏造しました。m(_ _)m
指名手配犯と闘っていたクロノナンバーズは多分バルドルとクランツだと思います(笑)
作成日:2006.3.17
金籠収録:2009.07.26