※オリキャラしかでないよ!








「んげっ!」
それは魔王宮の奥の居住区に入った男の第一声だった
ありとあらゆるところに照明用なのだろう、光球が浮いてまばゆすぎるほどの光を振りまいていた

「眩しくて逆に気持ち悪いぜ……」
毒づいてから侍従長の名を呼ぶ
「おーい!いねぇのか!?」
「…………何用でしょうか」
そばにあった彫像がぐにゃりと揺れ、女性となった
過剰照明は彼女にとっても眩しいらしく、いつもかけている眼鏡が色眼鏡に変わっている
「なんだこれは」
「ライトアップです」
「ライトアップってレベルじゃねぇだろ。消せ!」 「お断りいたします。魔王様から明るくしろと仰せつかっておりますゆえ」
「…あいつはどこにいる」
「軍事会議中でございます」
「んなッ、何俺抜きで会議始めてんだよ!」
「会議の終了まで時間がありますので、お引き取り願います」
「俺は必要だろ!?」
「報告書があれば十分とのことです」
「あんのやろ〜」
怒りを燃やす男に対し、侍従長は先ほどの言葉を告げる
「会議の終了まで時間がありますので、お引き取り願います」
「帰んねーよ、俺は会議に出る!」
「途中入室は禁じられております。どうかお引き取りを」
「知るか!」
踵を返して歩きだした男の後を侍従長がついてくる
居住区を抜け、会議室に向かったところで追い出すつもりなのだろう


扉の先には広間がある
その広間は居住区、謁見の間、会議室などさまざまところにリンクしている
二名が広間に出たところ、上のバルコニーから魔王が降ってきた
彼は二名の背後にふわりと降りたつと、二名に一瞥もくれずに「退け」と一言言い、足速に居住区へと入っていった
「おい、待てよ」
魔王は一旦足を止め、その背を男が追いかける
「閣下が心配されてた。」
「………………」
「世継が産まれないと嘆いてらした。」
「………………」
「お前、どこに行く?」


魔王は男を振り返らずに侍従長の名を呼ぶと、「見送れ」と一言だけ告げた
「かしこまりました」
侍従長が魔王と男の間に滑るように割り込む
その腕が飴細工のように形を変える
「私が見送らせて頂きます。」
そう言い、銃口と化した腕を男に向けた


男は魔王の名を呼んだが、彼は振り返らず、早い足取りで去っていった






先代の副大魔王には敬語、魔王にはタメ語(笑)
男と魔王は同い年くらい
説明不足なのがよくわかる

D.C.12(2010).2.14