※オリキャラしか出てこないよ!








魔王が亡くなってしばらくしたころだった
大きな魔力の波を感じた
教わったわけではないが、子が産まれる、とわかった

導かれるように王家の泉に進めば、水底に沈んだ黄桃色の袋が彼を迎えた

彼はほぼ無心でそれをひろいあげる
溢れだした魔力とともに皮が溶け、手には一名の赤子が残った

魔王の心を戦慄が走った
うっすらと生えた赤子の髪は自分や父の持つ金にはなりえない色だった
何より彼を動揺させたのはその自分も父も持たなかった闇の属性であった
世界に触れて赤子が産声をあげる
しかし魔王にとって初めて聞く赤子の声はモンスターの咆哮にすら等しかった

とっさに赤子を持った手に魔力をこめる
まばゆい光の中、赤子は崩れていった




赤子を一名始末したところで産まれなくなるわけではなく、不定の期間をおいて王家の泉は魔王を呼ぶ
その度に彼は絶望にさいなまれた
産まれくる皇子、皇女は皆闇であった
殺戮を繰り返すこと、数回
廊下に投げ出された子供の影の前に魔王は立ちすくんだ
それは何十万年もの昔に彫刻家が献上した、はるか先祖の発生を呪って掘られた像の影であった

その影の中に魔王は赤子の影を見た
何十もの目が闇に溶けて彼を見ている
ありとあらゆる影、魔王本体の影にさえ、潜んでいる

そんな幻想に捕われた






シリアスな話書こうとするとプチホラーになるみたいです(;^_^A
もはや二次創作じゃない……

D.C.12(2010).2.14