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魔界文化局。 「理事長、どうしたんですか?その子。もしかしてゆうか…」 「違うわよ。こないだ悪魔の森で発見したの。森の魔力から生み出されたのよ。」 「風貌はデーモン一族のようですが…」 「たまたまデーモン一族の魔力が流れてたまってたんじゃない?」 「はぁ…」 子供好きとの噂のない理事長が子供を連れてきたため、部下は不思議に思い尋ねた。 なるほど。森で産まれたなどという珍しい悪魔を彼女が拾わないはずはない。 「魔力から産まれただけあって、凄まじい力を感じない?文化局でいろいろ教えようと思うの。」 確かに。上手く教育すればよい魔導師になりそうだ。 将来、文化局員として使えるかもしれない。 「賛同いたします。」 「よい作品になりそうよ。」 部下の微笑みを受け、理事長も屈託のない笑みを浮かべる。 創作意欲に満ち溢れる瞳は輝いていた。 彼女は研究の結果産み出された物をすべて「作品」と呼ぶ。 それは実験マウスの成れの果てであろうが、怪しい薬であろうが同じである。 この場合、彼は弟子に位置づけられるのだろうが、彼女にとっては同じことなのだろう。 「名前は付けたのですか?」 「えぇ。ゼノン。”未知”を表す言葉よ。」 |