「助けられそうだったから、助けた。」


ゼノンと名乗った悪魔はいきさつを話してくれた。
彼が散歩をしていたところ、森がいつもと違う感じがした。
それでも散歩を続行したところ森が騒ぎ始めたので、騒ぎの大きい方へと(騒ぎ自体は一瞬だったが)進んでいった。
その先で倒れているゾッドを発見。
まだ息があり、治癒魔法を施せばなんとかなりそうだったため連れて帰ったと言う。
話の途中、何故散歩をしたかだの、森の通常の様子だの、写真がどうたらだの、ゾッドにたかってたネズミの種類だの、魔法がうまくいってよかっただの、君の回復力は予想外だっただの脱線したりしなかったりで、要約すればそういうことである。

ゾッドはゼノンを警戒していたのだが、おっとりした雰囲気と口調、なによりこのぐだぐだした説明を聞いているうちに、敵意はどこかへ行って…むしろ、どうでもよくなってしまった。

ゼノンの話が終わるか終わらないか…階下(と思われる)からドアの閉まる音が聞こえた。
「師匠だ…ま、待ってて。」
ゼノンはそう言うと部屋から出ていった。トントンと足音が遠ざかっていく。

「お帰りなさいませー。」
シンとした室内のせいか、かすかに声が聞こえる。
「元いた場所に返してきなさい。」
女の声が聞こえた。少し高い、しかし気の強そうな声だ。
「まだ何も言ってないのに…」
「獣系の何かを拾ってきたんでしょ。魔力が感じられるわ。」
「…その通りです…でも」
「拾ってくるのはいいけれど、今度は自分で飼えるものでしょうね?
この前拾ってきた竜の子だってあっと言う間に大きくなって、
結局文化局で管理するハメになったこと忘れたの?」
「忘れてません。」
ボソリと呟いたであろう言葉さえ、ゾッドの耳に届いた。
そんなことよりも「俺はペットか!!??」と突っ込みを入れたくてしょうがなかった。

「師匠、でも。」
「何?」
「拾ってきたのは獣…系ですが、、、悪魔です。ペットにするつもりはありません」
「……あら、ごめんなさい。」



そしてこの後、ゾッドはこのゼノンの師匠に合うことになるのだが…

「いい魔力持ってるじゃない!!!」
女の開口一番のセリフがこれだった…
新しいおもちゃを見つけた子供のようにじろじろ、まじまじとゾッドを見つめ、眺め回す。
女の奇妙な行動にゾッドはどうしていいやら解からず、ついゼノンの方へ視線を送る。
当のゼノンは師匠の行動をただただ見守っているだけで、役に立ちそうもなかった。

本当はさっさと帰りたいのだが、ここが悪魔の森のどの辺かもわからない。
飛び出したところで行き倒れるのがオチだろう…

「あなた、私に弟子入りなさい!」
「はぁ?」
いきなりの提案(?)に疑問符があがる。
「あなた本人はわからないのでしょうけど、あなたはとても強い魔力を持っているのよ?
しかも属性の影響はまったく見られない…これは私が手がけずして誰が手がけるというの?
否、私が創らなきゃ!!」
完全に自分の世界に入ってしまった女に、ゾッドはどんな反応をしたらいいのか解からなかった。

「私があなたを至高の作品にしてあげるわ+」
女は両手でゾッドの両手を取り、目を煌めかせてそう宣言する。
宣言されたゾッドはたまったものではない。
作品ってどういうことだ!?大体弟子入りするって言った覚えはないぞっ!!
「そうと決まればさっそく使いを出さなきゃ♪
部族はわかっているわ。悪魔の森の近くに集落を構える狩猟民族。地名は〜」
彼女の唇から的確な地名が発せられる。
反論はそれへの驚きで消されてしまった。
「やった〜。弟子が増えた〜♪」
弟弟子ができることにゼノンは大喜びのようである。
こうしてうやむやのうちにゾッドは女の弟子にされてしまった…




彼女が文化局長と知るのはしばらく後のことであった。






やっと終わりました。…半年経ってら((((´Д`;;
続きそのものは前の書いた時点で考えてたのですが、なかなかまとまらず…
これでまとまってるのかって言われると、非常にまとまってないんですけど、なんとか終わらせないと…ねぇ?
文化局長の暴走と便乗するゼノンと何がなんだかわかってないゾッドがかきたかったのです。

オリキャラのくせに暴走させすぎました、ごめんなさいm(_ _)m

made:D.C.9(2007).9.13