ザッパは困っていた。
「おかしいな。ここはどこなんだろう。」
周りは草と花の原っぱで、近くに林があった。
「さっきまで町中にいたのになぁ…」
もちろんS子のせいである。
「…まぁいいや。しかしのどかなところだなぁ。」
寝転がってみると草は柔らかく、花は甘い香りを発している。
「なんだか眠くなってきたなぁ‥」
その時彼の頭上を影が横切っていった。

「はっ!ファウスト先生!?」
傘をさしたファウストがメリーポピンズよろしく林の方へと滑空してゆく。
「まっ、待って下さい、ファウスト先生!!」
彼の声が聞こえていないのか紙袋の奇人は林へ降り、大木の根の下の穴へとダッシュで入っていった。
「ファウスト先生ー待ってくださ〜い!」
ザッパはその後を追い、穴へと入っていった。
穴はとても窮屈で、這って進むので精一杯だった。
このまま狭くなって通れなくなるんじゃないかと思ってきた頃…ザッパは浮遊感を感じ…
「って地面が無い〜っ!!」
…落ちていった…。


…がなにかおかしい。
落ちる際に感じる風があまり感じられない。
ザッパはそのままゆっくりと降りていった。


底にふわりと降り立つ。
「ここは土足厳禁だぜ。」
「ああっ、すいません!!」
下が畳であることに気づき、急いで靴を脱ぐ。
先ほどの若い声の持ち主はどこへやら。そこには大きな刃物を持った老人がいた。
「紙袋の奇人のことならあっちへ行ったがのぅ。」
そう言って指した先には一つのドアがあった。
「ありがとうございます!」
ザッパは深々とお辞儀をしてドアへと進んだ…つもりだった。
いや、進んでいるのである。ただ、辿り着かないだけで。
「あ…あれ?」
振り替えってみても老人…クリフとの距離は開いている。
「…そんなことをしても無駄じゃ。」
「そ…そんな、どうしてですかっ!」
「あのドアとお前さんの間のちょうど真ん中にはひとつの点があるんじゃ。」
「はぁ。」
「そしてその点とドア、お前さんの真ん中にもまた点があるんじゃ。その真ん中にも点があり、またその真ん中にも点があり…」
「ごめんなさい。全くわかりません。」
「……つまり無限の点があり、お前さんはその上を歩いていたんじゃ。そして、無限の点の上を渡っていくには無限の時間が必要なんじゃ。」
「それって一生かけても無理じゃないですか!」
「たとえ着いても鍵がかかっとる。」
「そ、そんなぁ。」
ザッパはへたっと座り込みメソメソと泣き始めた。
クリフは罰の悪そうな顔をして言った。
「行き方はあるんじゃが、この先は何がおこるかわからんぞ。」
「でも、ファウ、スト先生は、この先に行ったんですよ、ね。」
「待つわけにはいかんのか?」
ザッパは服の袖でゴシゴシと涙をふいた。
「いつ出てくるかわからない人を待つくらいなら、自分から会いに行きます。」
「…仕方ないのぅ。向こうまで渡してやるかの。」
「ほっ本当ですかっ!!」
「そこに立ってしばし待っとれ。」
そういってクリフは気を溜め始めた…。

「むううぅぅぅぅん!!」
一瞬にして老人が青年に変わった!
そしてザッパが先程聞いた若々しい声でこう叫んだ。
「バカモン!」
その言葉は岩となり超スピードでザッパにヒット!
そのまま勢いを殺さずザッパを押してドアへと飛んでいった。
ザッパはドアがみるみる近付いてきて、「バカモン」までみるみる大きくなっていくのに気付いた。
そして彼は「バカモン」と共に鍵穴からドアの向こうへと落ちた。



バシャン!

「ぶはっ!なに!?ここ、海!?」
たしかに周りはしょっぱい液体が波立っている。
ザッパはとりあえず浮いている「カ」につかまった。
真っ暗なうえに足もつかない。
しかし、前方に(かなり遠くであるが)光が見えた。ザッパはそこへ向かって泳いでいった。
だんだん岸が見えてくるにつれて誰かがそこで戦っているのがわかる。
どうやら遠くから見えた光はこの人たちが発していたようだ。


「そこだっ!」
白い服を来た金髪の男が剣から電撃を飛ばした。
「ふん、止まって見えるぜ。」
紅い上着を着た長い茶髪の男は余裕でそれを避けた。
「くっ!ならばこれはどうだ!」
金髪は茶髪にスライディングでつっこんだ、
が茶髪はそれを軽く避け、その顔面に炎をまとった右ストレートをぶちこんだ。
金髪が後ろへ飛ぶ。
茶髪はさらに追撃をかける。
その拳、方形の剣に炎をまとって。
その度に周りはいっそう明るくなる。
ザッパはその光景に目を奪われ、岸に打ち上げられたことにも気付かなかった。


ふいに金髪…カイの体が光った。
「ライト・ザ・ライトニング!!」
複数の青白く光る雷球をまとい茶髪…ソルに向かって突進する。
彼はよけずにガードで受けとめた。
目の前で膝をついたカイの頭に手を置き、言った。
「俺の服が乾く前に一撃をいれられなかった。また、俺の勝ちだな。」
「あ、あのー、何をしてらっしゃるんですか…?」
二人がザッパの方を見る。
聞かなきゃよかったかなー‥。と少し後悔したのは秘密。
「…単なるゲームだ。」
あっさりと教えてくれた。
「俺の服が乾く前に俺に一撃いれられたら勝ちってやつだ。」
「違うっ!本当はもっと…」
「もっと難しかったんだが、だんだんハードルが低くなった。それだけだ。」
「は、はぁ、そーなんですか‥。」
「私はゲームのつもりなど‥」
「俺としても面倒なんだが、戦うと早く服が乾くからな。」
「大変ですねぇ。」
「いや、戦闘時間の短縮にもなって一石二鳥だ。」
「お前もビショビショじゃねぇか。戦うか?」
「へっ?!」
「私を無視するなっ!」
このまま3P勃発かっ!?



「あいたたた…服は乾いたけど全身大火傷だよ…」
ザッパはふらふらと歩きながらつぶやいた。
「あれを毎日やってるなんてすごくスタミナのある人たちだなぁ…」
しばらく歩いていくと甘い匂いが流れてきた。
「?一体なんの匂いだろう?おいしそーだなぁ…」
そろそろおなかの空いてきたザッパ君は匂いのする方へふらふらと歩いていった。

匂いにつられて森の中をしばらく行くと開けたところがあり、たくさんの皿とティーカップやティーポットなどの乗った長テーブルがあった。
「あ、ジョニー!お客さんが来たよ〜!」
ドクロマークのついた橙色の帽子をかぶった少女が隣りに座る黒コートの男に話しかける。
「ようやく役者がそろったか…」
「あ、あの…役者って…?」
「パーティーを開くのさ。」
ジョニーは誇らしげに言った。
「で、でも四人ですよ…?」
長テーブルにたくさんの椅子…どう見ても10〜20人規模といったかんじである。
「テーブルが汚れたり、気分を変えたい時に席替えをするんですよ。」
ジョニーの右隣に座る青髪の少女が答える。
「増えるかもしんないしねー。」
橙帽子の少女も付け加える。
「とにかく始めようじゃないか。待っていれば人は来る。のどは渇いてないか?」
「か、渇いてます…」
「これなんかどうだね?」 ジョニーはグラスをひとつ取り出した。


グラスの6分の1程度の緑色の液体に小さな白い球体と赤黒い豆が入っている。
「なんですか…これ‥」
「見ての通り宇治金時さ。」
そう言ってジョニーはグラスに水を注ぎこんだ。
ウジキントキ?聞き慣れない単語に戸惑いながらグラスを受け取る。
緑色の液体は沈殿したまま、球体と豆が水の中に浮いている。
おそるおそる口をつけると、薄い氷の膜まで浮かべてあるのがわかった。
「甘い‥?」
さきほど注がれたのはどうやら砂糖水のようであった。
謎な飲食物に驚きながらもザッパはしばらくお茶会を楽しんでいたが急に上空が陰った。
四人が見上げるとそこには空中ダッシュ、もとい空を泳ぐファウストが!!
「ふぁ、ファウスト先生!?」
ザッパは勢い良く立ち上がったが、椅子に足をとられて派手にこけた。
「私になにか用ですか?用はあちらで聞きますからついてきてください。」
ザッパはファウストを追い掛けることにした。
「待ち人には会えただろう!」
「ハイ!元気も出ましたし、ありがとうございます!」
元気よく答えてザッパは走っていった。



ザッパは走りながらファウストに病状を説明した。
「ふむふむ…この薬なんてどうでしょう。」
ファウストは香水瓶のようなものを手渡し、付け加えた。
「実は家に手袋を忘れてしまったうえに鍵まで落としてしまったんですよ。私は鍵を探すので、あなたは手袋を取りに行ってきてくれませんか?」
「いいですけど…どこに置いてきたんですか?」
「二階のテーブルの上です。」
話しているうちに家が見えてきた。

家に着くとファウストは草むらに落とした鍵を、ザッパは手袋の捜索を始めた。
二階の部屋を次々に見ていくと白い手袋の乗ったテーブルを見付けた。
窓から外を見るとファウストも鍵を見付けたようだった。
「これですかー?」
「ああ、それです、それ。そこから投げてください。」
手袋を受け取るとファウストはドアを取出し入っていった。
彼を見送ったところでザッパは薬の存在を思い出した。
「これ、飲み薬だよね‥」
ザッパは薬を一気に飲み干した。

「あれ?なんだか目線がだんだん高くなっていく気が…」

ガツン!!

ザッパの頭が天井にぶつかった。と同時に床を踏み抜き、一階の床に足が着いた。
が、自分の目線はまだ二階にありさらに高くなる。
「Σもしかして俺巨大化してる〜〜!!」
もしかしなくてもそうである。
しばらくして巨大化はとまったが、ザッパは家の中に詰まった状態になってしまった。
「どうしよう…」
窓から突き出た手で目の前の窓を開ける。
目の前の道を人影が一つ歩いてくるのを見て、すがる思いで話し掛けた。
「あの‥すいませ〜ん!」
話し掛けられた男・ヴェノムは家の方を見て驚愕した。
人が家の中に詰まっている…ことではない。
そもそもあれは妖怪医者と名高いファウストの家だ。
何がおきても不思議ではない。
それよりも、その家の背後に立っている女だ。
怨霊など今更な感じではあったが彼女には戦慄する何かがあった。
「助けてください‥」
家の中の男は気付いてないらしい‥。
関わり合いになりたくなかったので、無視しようとも思ったが向こうはすがりつく子犬のような眼で見てくる。
「一体、何があったのかな…」
ヴエノムは返答してしまった。


「実はかくかくしかじかでして。」
「原因はファウスト医師の薬か‥」
どうしようもないという空気が明確に感じ取られる。
「あら、おもしろいお家。」
色っぽい声そう言ったたのは赤い革の帽子と過激な服に身を包んだ美女だった。
いつ現れたのか二人にはまったくわからなかった。
美女は続ける。
「外に出たいのだったらお家を壊したらどう?」
言うことも過激だ!
「暴れてみたら壊れて出られるかもしれないわよ。」
「ファウスト先生には悪いけど‥」
さすがにずっとこのままでいるわけにはいかないのでザッパはとりあえず屋根をつかんで持ち上げようとしてみた。
が、家はゴムか何かのように伸びるだけでひびすら入らない。
「…厄介だな、これは…」
さすが妖怪医者の家。
「外から攻撃をしてみれば壊れるやもしれん。」
ヴェノムはそう言ってみたものの、自信はなかった。
「あなたたち、ここで何をしてるの?」
そこに美人がもう一人現れた。
綺麗な金髪に青いバンダナをつけ、青と白のワンピースに身を包んでいる。
「ああ、ミリア、君か。」
どうやらヴェノムの知り合いらしい。


長髪に隠れて顔の見えない半裸の男が美人に説明をしている。
怪しい風体だがどうやらイイ人らしい。
「…攻撃‥ねぇ。」

「ダブルヘッドモービット!」
「バッドムーン!」
家の突出している部分は壊れこそすれ肝心の壁には傷ひとつつかない。
「これならどう?」
ミリアの金髪が延びる!
「アイアンメイデン!!」
延びた髪は地面に潜り込み鋭利な槍と化し、家の床をまっすぐに貫いた。
「ギィヤアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
中のザッパは見事に餌食となった。
「……………………ねぇ。もっとイイこと思いついたんだけど、どうかしら?」
今まで黙っていた赤服の女性・イノが言った。
「「「イイこと?」」」
三人がハモる。
「あそこにいる子に手伝ってもらうの。」
彼女の差した先にはこの場所に不似合いな中華風の店(これもまたいつの間にか存在していた)があった。
イノはそこへと向かっていった。


イノは中華料理の屋台を営む少女に話しかけた。
「そこの可愛いお嬢ちゃん。ちょっとお願いがあるのだけど。」
「何でも言うよろし。」
「ちょっと火を貸してくれないかしら?あの家を燃やさなきゃいけないの。」


グ〜‥キュルルルル

「! あなた、お腹空いてるアルか?」
家がビクッと動く。
「ごごごごめんなさいーっ!お‥お昼食べてなくて…」
腹の音を聞かれて(しかも大音量)恥ずかしさのあまりザッパはばたばたと腕をふる。
窓の奥の顔は耳まで真っ赤に染まっていた。
それでも家は壊れない。
「ちょっと待つアル!あたしが何かおいしいもの食べさせてあげるアル!」
中華風の少女は拳を強く握る。
その瞳には炎が宿っていた。
イノの頼みはどこへやら、屋台に引っ込み料理を作り始めた。


しばらくして…
「できたアル!ジャム特性ジャンボ春巻!ささっ、食べるアルっ!」
「そ、それじゃ遠慮なく…」
ザッパはそのジャンボ春巻(巨大化してしまった彼には少なくともジャンボではなかったが)を食べた。
「お…おいしい‥」
だが感動に浸っている暇はなかった。

今度は目線が下がっていく。
元の背丈に戻れる!
と思ったのもつかの間、ザッパの背はどんどん、いや、ガンガン縮んでいく。

「で、あの家を燃やせばいいアルね?任せるアル。」
ジャムは高く飛び上がり、油を振り撒いた。
キラキラと光る油粒が家にかかっていく。
9cmほどになったザッパが玄関の扉の下から這い出てきたころには、点火した火が広がっていた。
「あ、あのー…」
「さすが木のおうち。よくモエるわ。」
「明日には全て灰になってしまうわね…。」
「これであの妖怪医者ともオサラバアル〜♪」
「(故意犯だ…)」
「…(もしかしなくても俺を殺すつもりだった…?)」
その場にいる人々は思い思いのことを述べ、ザッパはそのままそそくさと去ることにした。



ザッパは森の中へ入っていったが、9cmの背丈から見た森はなかなか圧巻だった。
ガサッという音に目をやるとそこには茶色い毛に覆われた生きものがいた。
それがウサギだと理解するまでにさえ時間がかかった。

「はぁ‥これから俺、どうしたらいいんだろう…」
そう考えながら歩いていたところ、不意に


ら  悩
   み
   悩
   ま
   ず  全
      裸
      で
      Go
などという言葉を投げられた。
声の方を見ると、キノコの上にタキシードの紳士がいて、美人を一人隣によりそわせ、パイプをくゆらせている。
そして言った。
「私はスレイヤー。こちらは妻のシャロン。何かお困りかね?」


「ふむ…人を追っていたら迷いこんでしまったわけか。」
「はい‥しかも背丈も伸び縮みして何が何だか‥」
「今の大きさには満足かね?」
「さすがに…9cmじゃ不便です‥」
「なに!不便だと!?」
スレイヤーが怒鳴る。
「9cmもあれば十分ではないか!」
どうやら怒らせてしまったようだ。
スレイヤーは妻を抱きかかえキノコから降りた。
マントを広げるとそれは空中で静止し暗い空間とつながった。
「興醒めだ。帰るぞ、シャロン。」
二人はマントの暗がりへと入っていく。
そして帰りぎわにスレイヤーが一言。
「片方を食べれば大きく、もう片方を食べれば小さくなる。」
「え‥」
暗がりから返事が返る。
「キノコのだよ。」
次の瞬間マントは消えてしまった。

ザッパはキノコの両側をむしった。
「片方は大きく、片方は小さく…」
意を決して右手側をかじった。
目の前の景色がすごいスピードで下へと流れていく!
木の枝を蹴散らし体が縦へと伸びていく。
頭が森を突き抜けたところでようやく止まった。
あまりの効果の強さのためザッパはしばらく頭が呆然として頭上で誰かがどなっていることにしばらく気が付かなかった。

「テメー人の話聞いてんのか!?」
「ええっ!?」
我に返り、声の主を探そうとキョロキョロと周りを見回す。
「気付け!頭の上だ!」
頭の上には短い銀髪を立てた男が乗っていた。
「こんな奇妙な奴は見たことがねぇ!テメーMONONOKEだな!?」
「ええっ!?ちっ違います!」
「嘘つけ!テメーの姿のどこがMONONOKEじゃねえって言うんだ!」
↑昼寝の邪魔をされたために機嫌がひどく悪い。
「俺だって好きで大きくなったわけじゃないんですっ!!」
慌ててきのこを取出し(落としそうなくらい小さくなっていたけれど)左手側を用心してかじった。
景色が青、緑、茶と流れ、止まった。
「‥止まった!?‥ギャ!!!」
背がちぢんだことに気をとられて上にいた男─チップを忘れていたため、ザッパは彼の下敷きになってしまった。
「あいたたた…。」
ザッパは目の前にあるものを見てハッとした。
それは何の変哲もないきのこ。
ザッパの手のひらサイズのそれは両端がめくれていた。
「元に戻った…?」
人の下敷きになっているにも関わらず感慨に浸る。
「は〜、よかった…」
「大丈夫か‥お前?」
チップが尋ねたのは、もちろん頭のことである。

「あっ、大丈夫ですっ!!」
ワタワタとザッパが答える。
(チップ視点)見たかんじたいした害は無さそうだ。
「MONONOKEじゃなさそーだな。」
「だから違いますって!‥…」
突然、糸がきれたようにザッパはガクンとうつむいた。
「ど‥どうした?」
「…って言ったわね‥」
ザッパが呟く。しかしその声は女の声だ。
「AH?」
「MONONOKEって言ったわね〜!」
「What!?」
チップの目の前に女が現れた。
長い黒髪を前に垂らしたその姿はJapan作某ホラー映画の女幽霊を彷彿とさせる。
そして
「殺してやるうぅぅぅ!!」
女が叫ぶと、刃が二本付いた剣が現れた。
次に女が消え、ザッパはヨダレを垂らしながら白目をむき、チップを見た。
「やっぱりMONONOKEじゃねーか!」


Heaven or Hell?
Rock!

「αブレード!」
「斬らせろ!」
「スシ!スキヤキ!」
「調子に乗るんじゃないよ!」



森は二人(三人?)の戦闘を尻目にざわざわとざわめいた。

「ギャ━━―――…‥・」



しばらくして…
「ハッ!」
ザッパは我に還った。
倒れた自分を中心にに円形に地面が焼け焦げていた。
辺りを見回すと木には無数の切り傷が刻まれており、倒れているものもある。
先程いた銀髪の忍者の姿はなく、場所も先程とは違う。
「‥さっきは家なんてなかったよなぁ…」
視線の先には先に、一つの豪邸が建っていた。
玄関口で長い黒髪の男が烏に餌をやっていた。
露出度の高い漆黒の衣服を身につけている。
とっつきにくい印象を受けるが、ザッパは彼に話し掛けることにした。
「あの‥すいません。」
男は無言で瞳だけを動かし、ザッパを睨み付けた。
「ヒッ!ごごごごめんなさいっ!」
反射的に謝りだすザッパに男‐テスタメント‐は不思議そうに話し掛けた。
「私に何か用があるのではないのか?」
いきなり謝られてテスタメントは困惑した。
本人としてはただ(顔を上げずに)見上げただけである。
「あ、あの、俺、ファウスト先生を探してるんですけど、知りませんか?」
「…わからんな…」
「そ、そうですか‥。」
「ただ、中の奴らならわかるかもしれん。」
「ほ、本当ですかっ!?」


「ごめんくださ〜い」
豪邸の中も外観に劣らず豪華な造りで天井にはシャンデリア、壁には絵画に毛皮、床は赤の絨毯にやわらかそうなソファーがある。
しかし、そのソファーに座っているのは筋骨隆々とした大男で、お世辞にもこの雰囲気に似合っているとはいえない。
男はザッパに気付くと彼に近づき、手にしているバレーボール大の黒い物体をズイと差し出した。
「一つ、頼みがあるのだが。」
「はっ、はいぃぃぃぃ?」
男の武骨な姿と、その姿に近づかれたことに完全にビビってしまっている。
「大統領から出動要請が出てしまってな。しばらく、これをたのむ。」
「え…?」

男は塊をザッパに手渡すとさっさと行ってしまった。
ザッパはその塊をしげしげと眺めた。
「いったい何だろう?これ…。」
「ソノカラダ、ヨコセエエエェェェ!!!!!」
突然塊から腕が伸びザッパにむかってきた。
「ヒッ!」
ザッパが塊を取り落としたのと、塊の腕に鎖が巻き付いたのはほぼ同時だった。
「こんなもん人に渡すなんてあっぶねーの。大丈夫か、アンタ。」
長い金髪に赤いバンダナをした男が鎖鎌を握っている。
「このっ、おとなしくしろっつーの」
塊は鎖から逃れようともがき、男は逃さまいと鎖をグイグイとひっぱる。
塊は人の形状に変わり、爆発的なエネルギーを周りへ放出した。
当然鎖は吹っ飛び、塊だったものは自由になり飛空状態のまますごい勢いで窓を破り外へと飛び出していった。
「ちょ、ちょっと!」
「いーの、いーの、あんなのほっとけよ。」
頼まれた手前、塊だったものを追おうとするザッパをバンダナの男が引き止める。
「でっ、でもっ!」
「それよりアンタ、ファウストって男を探してるんじゃなかったのか?」
「えぇ!?知ってるんですか!?」
驚くザッパに男は「勿論だぜ。」とウインクした。

「俺はアクセル。なんなら案内してやるぜ。」
「で、でも‥」
「お礼はいいって。困ってるヤツは放っとけねぇの。ところで、あんたの名前は?」
「俺はザッパって言いますけど‥体、透けてきてますよ‥?」
アクセルの体が下から消えていく。
「げっ!?これじゃ案内は無理だな‥ファウストは今頃クロケー場にいるはずだ。クロケー場は‥」
アクセルはすべて言い切る前に消えてしまった。
「クロケー場…」
ザッパの呟きは完全な独り言であった。

とりあえずクロケー場へ行こうとザッパは外へと出た。
道に出ると、黒い全身タイツをまとった男がもがいていた。
「グオおおオおおああアぁァぁぁ」
「だっ、大丈夫ですかっ!」
ザッパが駆け寄ると男はガバッと起き上がった。
「フフ‥ヤット新タナ体ヲ得ルコトガデキタカ。アノ筋肉ダルマニ礼ヲシテヤラントナ。」
男は長い金髪を後ろへ流し、もがいていたとは思えぬほど静かに言った。
「しかしその前に‥」
男はザッパに顔を向けた。
その目は布で覆われていたがザッパは目が合った気がして、ごくりと唾を飲みこんだ。
嫌な予感がする‥。
「体馴ラシトイコウカ。」
右手を高らかにあげ男は叫んだ。
「ドリル!!」
ザッパの足元に円形の影が生じ、黒いドリルとなって突き上がった。
ザッパは後方に跳んでかわした。
「やっぱりこの人戦う気だ〜〜〜!」


「キシャアアアアアァァァァ!!!!我ノ名ハ『エディ』!!!!!!覚エテオケエェッ!!!!!!!!」



「や…やっと逃げられた〜…」
ザッパは命からがら逃げ出した。
足はフラフラ、頭もボンヤリ、ライフは1/8以下だ。
「や‥やばい…このままじゃ‥死んでしまうっ!い‥意識が遠退いてい…く‥」
パタ…
ザッパはそのまま倒れてしまった。

「おや?人が倒れていますねぇ。」
2メートルを越す長身の男が2メートル程の高さがある植え込みから現れた。
「…この人は‥」



ザッパが目を覚ますと紙袋を被った頭が目に入った。
「ふぁ、ファウスト先生!」
「元気になられたようですね。では私はこれで‥」
「ちょっ、ちょっと待ってください!!」
傘を取り出し飛び立とうとするファウストの白衣の裾を掴み、ザッパは引き止めた。

「ふむふむ‥薬を飲んだら巨大化してしまったと。」
ファウストはしばらく考えこみ、尋ねた。
「以前に背が小さくなったことはありませんか?」
ザッパは記憶を辿った。
「え…と」
ファウストを追い掛けて木の穴に入り、ドアに入るのに老人の助けを借りて‥
「‥あ!あります!!」
その時鍵穴を通るために小さくなったのである。
「やはりそうでしたか。」
「え!?」
「私のあげた薬は万能薬でして、巨大化したということは元の背丈に戻ったとでしょう。」
「え…」
困惑するザッパを無視してファウストは質問をする。
「他に変わったところはありませんでしたか?」
「いえ‥何も‥」
「じゃあアナタ正常ですよ。少なくとも身体的には。」
「と、いうことは俺の病は精神的な…」
「そういうことになりますねぇ。」
本当のところザッパはS子という怨霊にとり憑かれていて彼女がザッパの体で暴走しているのである。
その間の彼の記憶は無く、しかも体にひどい負担がかかるために、気が付いたら怪我をしていたということが少なくないため、ザッパはそれを病だと思っているのである。


「18番、ファウスト。」
アナウンスが聞こえる。
音量からして、そう遠くない。
「おやおや、もう私の番ですか。」
ファウストはそう言い立ち上がった。
「クロケーですか?」
アクセルの言葉を思い出し、ザッパは尋ねた。
「そうですよ。どうせですからアナタもいらっしゃい。」
茂みを抜けると広い芝生のコートがあった。
ファウストはコートへと出ていく際に木に近寄り、そこに立て掛けてあるものを取っていった。
それはクロケーに使われるクラブではなく、桃色のフラミンゴであった。
「クロケーってフラミンゴを使うのか‥。」
「そうですよ〜。」
ほぼ独り言である台詞に返答が来たのに驚き、ザッパは左方を見た。
そこには愛らしい熊のヌイグルミを抱いた美少女がそこにいた。
「クロケーっていうのはクラブでボールを打ってコートにあるアーチをくぐらせます。 アーチにはそれぞれ点数があって、一度に多くくぐらせるとポーナスがもらえるます。 お兄さんもしませんか?」 美少女が見上げる。
「じゃ、じゃあ少しだけ‥」
ザッパの返答を聞くと美少女は微笑んだ。


「あ、ウチの名前言うの忘れてました。ブリジットって言います。」
「あ、俺はザッパです。」
「よろしくお願いしますね、ザッパさん。早速ですがクラブはあそこに立て掛けてあります。」
そう言って指差した先にはベニヤ板が立ててあったが、そこにはフラミンゴではなく、何か機械的な、ロボットのような物がたてかけてあった。
高さは2メートルぐらい、人型ではあるが容貌は爬虫類のようで、これもまた機械的な尻尾がついている。
「えっ‥と…あれを使う‥のかな?」
「あれしか残ってないみたいです。あれはタイプージャスティスといってすごく強力なんですがすごく扱いが難しいんです。がんばってください。」
ザッパは仕方なくジャスティスを取るのだが‥
「お‥重い‥」
取り敢えず背負い、足をズルズルと引きながら他のプレイヤーを観察すると、フラミンゴをまっすぐに伸ばし、首(というより頭)でボールを打っている。
よく見るとボールははりねずみで、アーチは尺取虫である。
驚きながら見ていると、ザッパはふいに肩を叩かれた。
「え‥もう俺の番ですか?」
ザッパの肩を叩いたのはブリジットが抱いていたぬいぐるみで、それはコクりと頷いた。

とりあえずジャスティスをかまえるが、なかなか打ち出せない。
ジャスティスはすごく重いし、アーチである尺取虫はうろうろと動いている。
そのうちはりねずみもごそごそと動きだした。
そうしていると急にジャスティスが跳ね起き、その反動で尻餅をついたザッパの足を掴んだ。
そのまま大きく振りかぶってはりねずみを打ちこむ。
クラブにされたザッパの頭ははりねずみの真芯を捉えまっすぐ前へと転がした。
はりねずみは猛スピードで転がり、観客席を区切るロープの支柱、木、ときには観客で跳ね返り何匹もの尺取虫を潰していった。



「う‥う〜ん」
渾身の一撃を受けたザッパは気絶してしまったのだ。
「はっΣここはどこ!?」
あたりを見回すとそこは海岸で岩がところどころ露出している。
気が付くとすぐそばで茶色いフードをかぶった人が釣りをしている。
「あのー…」(ここはどこ─あなたは誰─一体なにが起きた─)
聞きたいことがありすぎてことばを失った。
「ナイルの川のわにの子はきらきら光る尾を振って‥」
フードをかぶった人物―声からして男だ―は急に語りだした。
「あの‥」
「あのお方の邪魔をするでない。」
再度話し掛けようとしたザッパを、傍にいた男がたしなめる。
皮膚は金属の様な光沢があり、額からは角が生えている。
“あのお方”はさらに続ける。
「黄金(きん)の流れに身を任せ、可愛い可愛いお魚をそうっと口へと運ぶのだ‥」
“あのお方”と呼ばれた男の釣り竿に金色のワニの仔が群がっていく。
呆然と見ているザッパを尻目にそのワニを拾い上げ、慣れた手つきでクーラーBOXへと納めた。


─ キーン コーン カーン コーン ─
遠くから鐘の音が聞こえてきた。
“あの男は”クーラーBOXを肩にかけ、立ち上がった。
「時間だ。行くぞ、レイヴン。」
「ハッ。」
そう言い、二人は歩きだした。
「え?!行くってどこに!?」
ザッパが問い掛けると、レイヴンと呼ばれた男は振り返らずにこう答えた。
「裁判だ。ついてきたいならばそうするがいい。」


─裁判所─
「ここが法廷かー。」
ザッパは裁判所の中を見るのが生まれて初めてだった。
あたりを見回すとまわりには見覚えのある人々が‥
「……」
否、今まで出会った人々のほとんどが陪審員席に座っている。
「それでは裁判を始めますね。」
裁判官席にはブリジットが、
「では、事件についておおよそのことを読み上げます。」
と、ファウストが手にしている紙を読み、
「事件ってほどの騒ぎじゃねーだろ。」
と、被告人席でアクセルがつぶやく。
「え〜被告の起こした犯罪は『殺人』ですね。」
「殺人…っ!?」
彼とは長い時間を過ごしたわけではないが、殺人を行う人には見えなかった。
ファウストはさらに続ける。
「先程ジャスティス選手が受け取るはずでしたクロケー優勝商品のアップルパイがお亡くなりになられました。死因は頭部損傷によるショック死。その傷跡とアクセル=ロウの歯形が一致。これよりアクセル=ロウを犯人と断定。これより法廷を開会します。」
「だぁから冤罪だぁって」
「静粛に〜!」
アクセルのつぶやきをブリジットが制す。
「あ‥アップルパイ‥」
ザッパは二の句が継げなくなった。

「じゃあ梅喧さん。どう思いますか?」
ブリジットは陪審員席の着物を来た女性にふった。
「あ〜?んなこと関係ねーだろ?」
「姐サン、もー少し真面目に取り合って‥」
レンズの小さな眼鏡をかけた、これまた日本風の男性が梅喧に話し掛ける。
「有罪か無罪かどっちがいいですか〜?」
ブリジットの問い掛けに梅喧はけだるそうに答えた。
「んじゃあ、有罪。」
「適当すぎだろ!?」
アクセルが吠える。
「それじゃー、弁護人さんお願いしまーす。」
ブリジットがそう言うと、何者かがザッパを突き飛ばした。
あまりにも強い力だったのでザッパは何mか前に飛びだし膝をついた。
全員がザッパを見る。
「お!あんたちゃんとファウストに会えたか?」
状況を無視してアクセルが言う。
「え‥あ、はぁ、おかげさまで。」
「よかったじゃねぇか。んじゃ、弁護の方もよろしく頼むぜ?」
「え‥?」
「有罪=死刑だからな。マジよろしく。」
「有罪=死刑!?」
ザザーッという効果音付きでザッパの顔が青ざめる。
「無理‥っ 俺には無理ですよっ!!」
顔をプルプルと振りながら否定する。
「何言ってんだよ〜。お前が選ばれたんだからしゃーねぇだろ〜?」
アクセルがおもむろに指差したところを見ると、緑色の皮膚をしたカイが立っていた。
‥いや、よく見ると服装や背格好は同じだが、それはまぎれもなくロボットだった。
………とりあえずそのロボットがザッパを突き飛ばしたらしい。
「頼むから無罪になるように頑張ってくれよ〜?」

「では第1問です!あなたは被害者・アップルパイさんが殺害された時間に、どこで何をしていましたか?」
「ポチョムキンの館でコーヒー飲んでたぜ?」
陪審員達がノートにそれを書き写していく。
カリカリと鉛筆の音がするなかブリジットは次の質問をする。
「第2問です。証人はいますか?」
「そん時ならポチョムキンがいたぜ?」
これでは裁判というより事情聴衆である。
「それでは証人さん、出てきてくださ〜い。」
ブリジットがそう言うと、ポチョムキンの座っている場所の床が抜け、彼は陪審員席の床下へと消えた
……が次の瞬間、ブリジットのいる裁判官風の机が観音開きに開き、そこからポチョムキンが飛び出した。
「ではお願いします。」
ブリジットがそう言うとポチョムキンは語りだした。
「私は一時間前には家の外にいた。大事な用事があってな。確かに彼にコーヒーをすすめたがそれは二時間前だ。」
「あれ?食い違ってますよ?ダメじゃないですか、嘘ついちゃ!」
ブリジットが言う。
「嘘つきは死刑ですよ!」
穏やかじゃない‥

「し、しまった‥そ〜いや俺タイムスリップしたんだっけ…」
アクセルはタイムスリップ体質という世にも珍しい体質なのである。
今から二時間前というと、ザッパがアクセルと会う前である。
アクセルはその時にポチョムキンに勧められコーヒーを飲んでいたし、その後ポチョムキンは部屋に入ってきたザッパにエディを渡し、外に出ていった。
その直後アクセルがタイムスリップしたのはその一時間後だった。
ふらふらとあてもなく外に出て一時間を過ごし、ついさっき捕まったのだ。
アクセルにとっての一時間前はみんなの二時間前だったのである。
だからアクセルとポチョムキンの証言は食い違ってしまったのである。



「じゃあ俺はどう弁護すればいいんだ…?」
ややこしいと思いながらもザッパは考えはじめた。
アクセルにはアリバイがない…
「なぜアップルパイが食べられたのが一時間前だとわかったんだろう…?あの!」
「発言するときは手を挙げてください!」
そう返されあわてて手を挙げる。
発言を許可され、先程考えたことを尋ねた。
「なぜアップルパイの死亡時刻がわかったかはですね。」
そのアップルパイはどうやらロボカイ(カイそっくりのロボット)によって厳重に警備されていて、一時間と2分前には無事だったらしい…
「そのロボットが食べたってことはねーのかよ。」
すかさずアクセルが反論する。
「ロボットが殺人を犯すわけないじゃないですか!まさかあなたロボット三原則知りませんね。ロボットは人間に危害を加えてはいけないんですよ?」
「あの、アップルパイって人間ですか?」
ブリジットにザッパは尋ねる。
「って言うか、そのポンコツ共にんなたいそうなプログラムセットされてんのかよ。」
そういえばそうである(キートン山田風)
「だいたい一時間前に俺がそこにいるわけねーじゃん!ロボットだったら歯型ぐらい用意できるだろ!」


「…品」
原告席のジャスティスが何やらブツブツ言い始め、
「ワタシノアップルパイ〜!!」
暴走してしまった!
「みんな取り押さえてください!いえ、首をはねてください!!」
しかしブリジットの命令にロボカイは全く動かない…
それどころか
「革命ダァ〜!!」
と言い出し暴れ出す始末。裁判所は大混乱である。
「あら、まぁたタイムスリップしちまうみたい。」
アクセルはそう言い消えてしまった。
ジャスティスの放つビームが飛びかい、その間をぬってロボカイが破壊活動をしている。
陪審員たちはそれを止めるべく戦っている。
「聖人には十字架を〜♪罪人には斧を〜♪」
不気味な歌を歌いながらロボカイの一人がザッパに近づいてくる。
「邪魔する者には死を〜」
そう言い手にしている剣をザッパの頭上に掲げ首めがけて一気に打ち下ろした。



「ふぁっ!!」
ザッパは飛び起きた。
辺りは午後のお花畑。
ザッパはいつのまにか寝てしまったようだ。
「夢だったのか‥?」
強く甘い花の香りが立ちこめている。
周りには人どころか動物や虫の気配さえしない。
その異常さにだんだんザッパは気味が悪くなりその場を離れることにした。
あと二時間もすれば日が暮れてしまうだろう。
花畑から離れたところに森があった。
その奥には両側がむしられたキノコが誰に知られるともなく在った。
それもまた、時間のたたないうちに鹿に食われてしまった。










終わり→あとがき


長い時間かけて書いた長い作品。
各キャラは出せたけど出番がまちまちだったのが心残り。
性格がおかしいとかは突っ込まないでください。ジャスティスはわざとです。
対応する役
ザッパ→アリス
ファウスト→白うさぎ
クリフ→扉(?)
ソル&カイ→ドードーと愉快な仲間達
ジョニー&メイ&ディズィー→いかれ帽子屋&三月兎&眠り鼠
ヴェノム&イノ&ミリア&ジャム→とかげ・ドードーにその他
スレイヤー&シャロン→芋虫
チップ→鳩
テスタメント→カエル
ポチョムキン→伯爵婦人
エディ→赤ん坊
アクセル→チェシャー猫
ブリジット→ハートの女王
ジャスティス→フラミンゴ
あの男&レイヴン→海亀&グリフォン
ロボカイ→トランプ兵
闇慈&梅喧→陪審員


作成日:2004.06.27
金籠収録:2009.07.26