エロ・グロではないアホな下ネタです。
魔界の首都にある魔界中央情報局の長官室。
不意に訪れた文化局長は鞄から瓶やカプセル剤を取出し、デスクの上に並べだした。
その間情報局長官は膝と腕を組み、その様子を眺めていた。
数種類の薬を並べ、文化局長が口を開いた。
「試作品だけど、どう?」
「試作品を持ってくるな。」
情報局長官が一言で切り捨てる。
「大丈夫だよ。試作品とは言っても実験済み。ただ使い勝手とか、感想とか聞かせてほしいんだ。」
「要するに治験か。」
「そうそう、それ。」
「…で、何の薬だ?」
「えーと、いろいろ。」
「いろいろじゃわかんないだろ?」
机に並ぶ薬を指してゼノンが説明する。
「これが“勃起時に男性器が通常の1.5倍になる”薬。これが“女性器が濡れに濡れて緩くなる”薬。」
「ちょっと待て。エロ薬じゃねぇか。何がいろいろだよ。」
「いろいろだよー。これは獣耳と獣尻尾が生える薬。こっちは巨乳になる薬。体の感覚を奪う薬。性別を入れ替える薬。」
「…エロ薬だろ?」
「それ以外の目的は思いつかないの?エロ、じゃなくてそれだけを楽しむとか拷問とかスパイ作戦に使うとか〜。あ、それとも……」
右手の親指と人差し指で作った輪に、左手の人差し指を通す。
「使われる想像した?」
エースは卓上にあった書類でゼノンの頭をはたいた。
パシンッ、と高い音が長官室に響いた。
「やる。これおまえに全部やる。楽しむなり他にまわすなり好きにしろ。」
あれから数時間後、仕事で情報局に訪れたルークを捕まえて薬を押しつけた。
「え?いいの?やったあ!ありがとエース!」
困惑どころか喜ぶルークに、エースは逆に困惑するのであった。
「しっかしゼノンも変なもん作るよなー。」
ルークは部屋の絨毯の上で胡坐をかき、手前に薬を並べる。
魔界では変身や干渉はほぼ魔力を使って行う。魔力以外の方法としては腕輪やイヤリング、札などマジックアイテムの使用が一般的である。
また、魔力に対し薬は体に直接影響を与えるため、変身に関する薬はことさら作成が難しい。
すでに方法があるものに対して薬という方法はイマサラ感があるのだが、"魔力を使わず"というところは意外と新しい。
その新しいことに目を向けておきながらどうでもいい効果を出そうとするのがゼノンらしいというところか。
「アレが1.5倍かー。すっごく気持ちいいだろーなー。」
薬を眺め妄想する。
いつも主導権を握る愛方の態度は変わるだろうか。。。。
しかし…
「もし使ったら、いつもの大きさじゃ満足しなくなるかも……だめだ!だめだめ!使えない!」
見るからに男性器を模した瓶を薬の集まりから離れたところへ移す。
次に手に取ったのは狐へと変身する途中の女性が描かれた和紙の小さな包み。
薬と一緒に入っていた一覧表と照らし合わせる。
「獣耳と獣尻尾…ジェイルは自前で持ってるからこれも必要ない。」
薬の集合から1.5倍薬の隣へと移す。
「これはー……?」
ピンク色の瓶を手に取る。
「女性器が濡れに濡れて……関係ない、関係ない…」
また薬の集合から離そうとする。
「ん?女性器……?」
手に取った瓶を下ろし、一覧表に目を戻すと小さな紙箱を手にした。
「これだ!」
仕事を終えてジェイルは自宅へと戻った。
地球任務を経て代官という地位を得たものの、拷問官としての仕事も続けている。
明日(と言っても数時間もないが)は休みのため昼まで寝ようなどと考えながら鍵を差し込み捻ったが、スコンと抜けた音しかしなかった。
「…………あいつだな…」
突然やってきて家の中にあがる悪魔は彼の知る限り泥棒か愛方くらいしかいない。
そっとドアを開け、男物だがやけにヒールの高い靴が置いてあるのを確認すると自然に笑みがこぼれた。
「ただいま」
そう言って部屋のドアを開けた。
「おかえり〜」
ジェイルを出迎えたのは一名の女性であった。
「だっ、誰だっ!?」
見知らぬ相手を威嚇する。
「おっ、俺だよ。俺俺ルーク。」
「ルーク?」
よく見れば顔立ちが似ている。むしろ髪型も紋様もルークそのものである。
「なんで女になってんだよ。。」
「エースがくれた薬使ってみたの。」
「エースが?なんで?」
「ゼノンからもらったらしーよ。」
「あぁ……」
いらないものを押しつけられたんじゃねーか…と思うが言葉には出さない。
目の前の愛方はめちゃくちゃ楽しそうだ。
「変身なんて薬使うより魔力使った方が確実じゃないの?」
そう言いながらジェイルはまじまじとルークを眺める。
身長はジェイルよりも低くなり、体つきも女性特有の丸みに満ちている。
「魔法で化けるのって集中力と想像力がいるじゃん。」
「うん。」
尻から太股にかけてはもともと丸かったが、女性化したためにさらに柔らかそうに見える。
「変身が苦手な人でも気軽に変身できるようにってことらしいよ。」
「これ本物?」
「触っちゃだめー」
胸を掴もうとジェイルは手を伸ばしたが、ルークは胸の前で腕をクロスさせてガードする。
「ちょっとぐらいいいだろ?」
「だめー」
手のやり場を無くしたジェイルをルークが笑う。
「触りたかったらー、飲んで?」
小さな紙箱を取り出す。
「何それ?」
「女になる薬。」
「やだよっ!」
「なんで?女になってもジェイルは可愛いと思うけど。」
「そういう問題じゃなくて…ってか、女になることに抵抗ないのかよ?」
「それ、俺に聞く?」
わざとらしく胸を寄せてジェイルに見せつける。
「…………」
「結構楽しいよ?それに…」
ルークが小さく手招く。
ジェイルがそっと顔を寄せると、
「女の快感って男の何百倍らしいよ?」
と耳打ちされた。
紙箱の中には小さな錠剤が入っていた。
「効果が出るまでの時間と持続期間は?」
「あ……見るの忘れた。」
「それ、危ないぞ。軍人ならちゃんと見とけよ。」
一覧表を確認すると種族や代謝の効率によって個人差があるため、別紙を参照とある。
「俺12時間だって。ルークは?」
「13時間…。あと11時間もある…。」
「明日仕事は?」
「朝からだよ。」
「ちゃんと行けよ?俺休みだからいーや。」
頭を抱えるルークを尻目に小さな白い錠剤を一つ、ジェイルは口に放り込んだ。
「…熱い…」
飲んで数分、体の内側が燃えるような熱で満たされていく。
「うん。…変わってきてるよ。」
熱の苦痛で俯いた視界に映る手がルークの言う通り小さく細く変わっていく。
筋肉質の腕も女性らしくしなやかに、細い体が更に細くなっていく。
薬の効果として、もし女に生まれていたらこうだったであろう姿に変わっていく、らしい。
感じていた熱がひき、ジェイルは顔をあげルークを見た。
「ど、どう?」
「…」
ルークの視線は一点で止まっていた。
そして紡ぎだされた言葉はこうだった。
「おっぱい、どこ?」
「は?」
ジェイルは自身の体を見下ろす。
女性に変わったことで短くなった足とだぼついた服が見える。
しかし、女“性”を強調する2つの膨らみらしいものは見えなかった。
「なっ、なんで無いの?薬の耐性が強いから?それとも目の錯覚?」
そう言いながらルークはジェイルの胸を鷲掴みにする。
男性の胸と違い、柔らかくて多少ふくらみがあるが、女性となったルークの手でさえ空間が余る。
「無い!無い!ホントーに変身完了しちゃったの!?」
なぜか本悪魔よりパニックになり、情け程度にしか膨らんでいないジェイルの胸を目茶苦茶に触りだした。
ジェイルもあまりの自分の貧乳さにショックを受けていたが、ルークがパニックを起こした分いくらか冷静だった。
しかしこの事実はどうしようもないし、目茶苦茶な触り方でも何だか気持ちいいので、このまま放っておくことにした。
翌日。
「ありがと、エース。楽しかったよ。」
夕方、情報局をルークが訪れた。
女体化の効果は消え、元の姿に戻っている。
「これ薬特におもしろかったからエースに返すよ。」
小さな紙箱を執務机に置く。
「何の薬だ?」
「性別を逆にする薬。………何、その目は。変身するのって楽しいじゃん。昨日大橋も一緒に楽しんだし。」
「あぁ、そう。」
「効果も2、3時間だったからお手軽だよ。あ、俺次行くとこあるから。じゃあね。」
喋るだけ喋ってルークは帰っていった。
机の上に紙箱だけが残されている。
「…………………2、3時間…か……………」
更に翌日。
「エースにあげたの。」
「うん。」
軍事局は参謀職の執務室。
軍の派遣先の状況について記された報告書に目を通すルークの横で、ジェイルは机に腰掛け暇そうに足をブラブラさせている。
「くるかな?」
「くると思うよ。俺2、3時間って言ったし。」
ジェイルの問いにルークが答える。
「戻ってからくるかもしれんよ?」
「一晩開けて戻らなかったらくるでしょ。使うとしたら俺たちみたいに深夜だろうし。」
書類とジェイルを交互に見やり、ルークは言った。
遠くから足音が聞こえる。
「「……きた。」」
「ルーク!!!!!」
外れんばかりの勢いでドアが開かれる。
予想通り飛び込んできたのはエースであった。
調子のいい言葉でもかけてやるつもりの二名だったが、そろって言葉を飲み込んだ。
いつもの軍服は女性化した体にあわせて魔力でリサイズされていたが、ボタンは留められておらず、中の白いシャツは胸によって大きな陰影が付けられていた。
「何が2、3時間だ!10時間経っても戻んねえじゃねぇか!!」
エースがつかつかと歩を進めるたびに彼の胸が上下に揺れ、二名の目は釘付けになる。
「何とか言えよ!」
机の前まで来てルークに怒鳴る。
ルークは惚けた顔のまま言った。
その目はある一点から離れない。
「ごめん、エース。あれ嘘。」
「だろうな。」
「少なくとも12時間経たないと戻れないよ。」
「なんだって!?」
「でも、まさか、こうなるとは思わなかった…」
ルークとジェイルはすっとエースの両側へと移動する。
女性化したとはいえ、エースは元の身長より頭半個分ほど低くなっただけであり、目線はルークと変わらない。
胸もさることながら、腕も脚も細すぎずむしろ豊満と言える体からは色香が漂っている。
「お願い。」
ルークは顔の前で手を合わせた。
「揉ませてください。」
「ふざけんな!!」
「一生のお願い!こんなチャンス滅多にないよ!」
「チャンスでもなんでもねぇ!」
「あ、じゃあ俺押さえてる。」
ジェイルがエースを後ろから羽交い締めにする。
「サンキュー♪」
「ちょっ、何しやがる!」
「あとで俺にも揉ませろよ?」
「わかってる。わかってる。」
「やっ、やめろ〜〜〜〜!!!!!!!!」
その後、エースがどうなったかは誰も知らない………
まだあげてない話がmixiにあったのでサルベージしてきた。
女体化騒動と名付けておきながら、全然騒動じゃないですけど(笑)
女体化に抵抗の無いルークさん、ということでメンズブラとあわせて彼の変態度披露話になります。
メンズブラのほうが後にできた話ですが、メンズブラ→この話と読んでもルークの変態度が増していく気がします(笑)
D.C.12(2010).10.20:mixiからの収録