年上のあの人は、どちらかというと友達というよりも先輩で。
何においても後輩の俺を可愛がってくれた。
数少ない共通点である煙草を肴に酒を挟んで談笑してた。
いつものこと。
たわいないやりとり。
ふとした仕草。
何か、急にキた。
おかしいピッチで心臓が鳴りだす。
とまどって返事ができない。
あの人が首をかしげる。
あ、それ反則。
あっあ、顔を近付けないで。
うまく笑えない。
うまく話せない。
どーしちゃったの、俺。
今まで何とも思ってなかったのに、急にドキッとキた。
そんな始まりだってあるじゃん。
恋心は、わかんない。
D.C.10(2008).8.2:オエビからの収録