遊廓妄想〜番頭奮闘記2〜
「…んでさぁ、いないの?」
「ですから、いませんて。」
昼、本営業前の時間
番台で男が遊魔の注文をつける
一服のため不在のデーモンに代わり、ゼノンが注文を受けていた
「手が六本に足が六本。目は6つ以上で脂肪は少なめ。色白が好ましく髪は混色。尻尾の有無は問わない。……そんな化け物はいません。」
「なんだ。いねぇのかよ。天下の悪魔の穴が聞いて呆れるぜ。それともニッチすぎて落とし穴だったか?」
化け物でなくともすべてのタイプに対応しているわけではない。
麗しい遊男はいてもガチムチ兄貴系がいないように。
しかしこう言われると腹が立つ
だいたいこの男はハナっから化け物を注文しているわけではない
色白で痩せ形の遊魔を三名注文している
化け物の代わりに〜と言って注文に沿った遊魔をくれてやれば一名分の値段を要求されるため、そうするつもりはさらさらない
だが、いないことが前提の化け物をいないと言って文句を言われるのも気分が悪い
ふとシフト表が目に入る
「あ〜いました。そんな化け物が。手足も目も6つ。ぽっちゃり系ではない筋肉質。顔は白くて髪は黒と銀とピンクのメッシュ。生憎尻尾は一本しか生えてませんけどね。」
そう言って大きな音をたてて手を叩く
「ゾッド!ジャギ!ジード!摘み出して!!」
「うおっしゃー!!」
まるで控えていたかのように遊廓の用心棒の三名が男を取り囲んだ
望みどおりの三名の悪魔にひきずられ男は店外へと消えていった…
「もう来るなよ〜」
男には聞こえていないだろうが、そう言っておいた
念のため、後で塩を盛っておこう
他の二次創作ではよく可愛い担当として見かけるゼノやんですが、うちのは腹黒です
受け攻めで言うなら、攻めです。むっつりの(笑)
D.C.10(2008).10.31