遊廓妄想〜洗濯場〜




遊廓の洗い場にて大量のタオルやらシーツやらを洗濯する二名の悪魔がいた
「もーほんっっっと怖かったーー!!!!」
「それは災難だったねー」
先ほどの男に売られそうになった騒動をルークが嘆き、ライデンが慰める
「最近毎日遊魔と間違われてる気がする…」
「まーまー;;;」

ルークは新たな洗濯物に手を伸ばす
それは薄い手ぬぐいだったが、一面に血と精液がこびりついていた

「もー」
石鹸の泡を付け、ごしごしとこすると染み一つ残さず汚れは消え去った
「すげー。なんで?なんでそんな綺麗に消えんの?」
ライデンはルークの洗濯物を覗き込んだ

「今日は俺んちの石鹸持ってきたんだ。よく落ちるよ」
足元に転がる石鹸をライデンに渡す
つるんとしたそれは、遊廓で使っているものと少々手触りが違う気がした
試しに使ってみれば汚れは面白いように落ちていく
「うっわー。これすっげー。どこの石鹸?」
「だから、俺んちの石鹸。」
「?」
「俺んち、石鹸屋なの」
「なるほどー」
「これくらいの汚れだったらこーしてこーすると…」
「うぇえー、真っ白だ!!」

「何はしゃいでんだ?」
他の雑用係たちが寄ってきた
「この石鹸よく落ちるんだって」
「すっげー」
「この染み三日前のだぜ?」
「俺の服のカレー染みも落ちねーかなー?」
「ちょっと、何サボってんだい!」
仕事を放って騒いでいると、雑用のおばちゃんがやってきた

「だからこの石鹸が…」
一名の若者が実演すると
「あら、何てすごいんだい」
ルークの石鹸はおばちゃんの怒りまで洗ってしまったようだ
「よかったら明日持ってきますよ」
「おや、嬉しいねぇ」
「皆もまた明日試してみてねっ」
場をおさめ、ルークは再び洗濯を始めた
皆も銘々の洗濯物へ戻り、仕事を再開する

遊廓の石鹸を眺めてルークは思った
この石鹸の代わりにうちから買い取ってくれれば、儲かるんじゃない?
俺一名でこの辺の店に売りさばけばいいこづかい稼ぎになるなぁ………


ルークの考えはいつしか儲け話へとシフトチェンジしているのであった










新事実!ルークの実家は石鹸屋だった………!

D.C.10(2008).10.31