遊廓妄想〜宴会〜
広い座敷を利用して宴会は行われた
予約のない遊魔たちだけでなく、関係のない客まで一緒になって騒いでいる
宴の主賓とはあまり関係のないルークは番台に座らされていた
貸し切りになったとはいえ、既にある予約は取り消せないし、それでもやってくる客はいる
上からは楽しそうな騒ぎ声が聞こえてくる
「いいなぁ〜」と呟いても、何も返ってこない
「ふあぁー、コータイ、コータイ!」
エレベーターからライデンが降りてきた
小走りで番台に近づき、反動を付けてよっこらせと上がると
「ルークも座り疲れたっしょ?しばらく交代しろって」
人差し指を互いの間で往復させながら言った
「ん、じゃ、後は任せたよ!」
ルークはライデンが降りてきたエレベーターに乗り込み、三階へと上がった
上では料理や酒を運びに行く仕事が待っている
「じゃあ、これを頼む」
板前から酒を乗せた膳を渡され、座敷へと向かった
鍋を持ち、前を歩くトカゲ属の板前見習いが引きずる尻尾を踏まないように注意しながら廊下を進む
座敷からは三味線の音と、歌声が聞こえてくる
歌っているのはデーモンだ
だが、誰が演奏しているのかはわからない
同じく三味線を弾く者として、ルークは興味があった
「鍋来たよん」
座敷の前にすわる双子の禿に見習いが告げ、双子が座敷の襖を開けると中の音が溢れだした
上座側から入ったルークには下座の楽団がよく見えた
高らかに歌うデーモンの左にはエース、右にはジェイルが侍り弦楽器を奏でている
その後方ではゼノンが管弦楽器を吹いている
眠くなりそうな雅楽のそれではない、弾けるような旋律がルークの全神経を奪う
気付けは運んできた酒ビンはすべて空の容器に入れ替わっていた
どうでもいいことですが、彼らが引く楽器はギターか三味線か、ものっそい悩みました
私の物語に関する悩みはそんなところにあります(^^;A
D.C.11(2009).1.26