遊廓妄想〜新客〜


「関係ねーだろ」
男に一瞥をやり、ジェイルはその場にあぐらをかく
デーモンがせっかく整えた着物が乱れるが気にしない

「自分べっぴんやん。無愛想なん勿体ないわ〜」
格子を握ったまま男が言う
「媚びは売らんよ」
「かっこえぇわ〜、な、オレと遊んでよ?」
「やだよ」
「なんでぇ?暇そーやったやん」
男は格子にぐっと顔を近付けて言う
「オレ、うまいんやで?つまらんかったら寝てもかまへん」
ジェイルは細めた横目で男を見た
「……相手してやってもいいぜ。ただ余計なお喋りも演技もしてやらない。下手だったら本当に寝てやる」
「おーきに」
男は笑った
口の左端が大きく釣り上がり、細めた目が左だけ更に細くなる


特殊な笑い方になぜか悪寒が走った


そこへデーモンが帰ってきた
「見学か?」
再びジェイルを立たせ、持ってきた紙箱から新たな帯を取出して腰に巻き付ける
「うんにゃ、俺の客」
「じゃあこのまま出してもいいか」
「ちゃんと着付けてなぁ、脱がす楽しみないやん」

デーモンと男は声をあげて笑ったが、ジェイルは笑う気にはなれなかった










短いですが、キリがよいのでご容赦をm(_ _)m

D.C.12(2010).2.14